野口里佳  光は未来に届く
会期 2011年9月11日(日)―2012年3月4日(日)
《フジヤマ #17》 1997年
地平線にたたずむ小さな人の影。屋根の上を歩く人。水の上に浮かぶ葉とそこに映る光。日本で宇宙に一番近いところ、富士山、その頂上から見えるもの—。

小さな宇宙と大きな宇宙、微視と巨視を行き来する独自の視点で、野口里佳は不思議さに溢れたこの世界を写しとります。地球と人間の謎に触れるような対象の選択、透明感のある色彩と優美で詩情豊かな表現力は、これまでに国内外から高い評価を得てきました。
野口が作品を発表しはじめた1990年代前半の日本は、コンパクトカメラの普及など写真を取り巻く環境が大きく変わり、新世代といわれる写真家が登場した時代です。そのなかで、独自のスタイルで写真という視覚領域を追求する野口は早くから注目を集め、20年近い作家活動のなかで多くの国際的な現代美術展でも紹介されてきました。野口の制作の姿勢は、写真というメディアの自由さへ迫ろうとするものであり、それは今回の最新作での意欲的な探求にもつながります。
眼前の現実にひそむ謎にアプローチする力としなやかさ。野口の作品世界は、見る者にこの世界の魅力を気づかせます。
本展では野口の出発点といえる初期作品《創造の記録》から、未発表・最新作までを展覧いたします。
カメラという機械を使い、写真独自の「光の画」を追求し続ける野口里佳の世界をぜひご覧ください。


《人と鳥》 2010年
展覧会カタログ
野口里佳(のぐち・りか)

1971年埼玉県さいたま市生まれ。現在ベルリンを拠点に活動。
主な個展・二人展に、2009年「光 松本陽子/野口里佳」国立新美術館(東京)、'04年「飛ぶ夢を見た 野口里佳」原美術館(東京)、'01年「MIMOCA’S EYE VOL.1:野口里佳[予感]」丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(丸亀、香川)。
主なグループ展に'08年「ライフ・オン・マース:第55回カーネギーインターナショナル」カーネギー美術館(ピッツバーグ、アメリカ合衆国)、'07年「夏への扉——マイクロポップの時代」水戸芸術館現代美術ギャラリー(水戸)、'04年「今日の写真における日常へのまなざし」宮城県立美術館(仙台)などがある。
'11年「ヨコハマトリエンナーレ2011」(8/6-11/6)に参加。

●アーティスト・トーク
2012年にアーティスト・トーク開催を予定しております。
日程が決定次第、本ホームページ内にてお知らせいたします。

●学芸員によるギャラリートーク
日時 : 毎週日曜日(9/11、2/19をのぞく)  午後2:15― (約30分間)
料金 : 無料 (当日観覧券が必要です。)
申込不要(カウンター前にお集りください。)

●展覧会カタログが完成いたしました。
IZU PHOTO MUSEUMミュージアムショップのみにて発売中です。
野口里佳「光は未来に届く」(定価:本体2,500円+税/税込2,625円)

●野口里佳 限定作品集
IZU PHOTO MUSEUM発行『太陽』(限定1000部、2009年)を美術館ミュージアムショップ他、下記にて取り扱いしております。
出版社NOHARAホームページ

《手と虹》 2010年
《無題(カンパラ)》2006年